平成30年度西播磨短歌祭入賞作品

【一般の部】

◆兵庫県知事賞

猛暑の日わっと生れたる目高の子軒下の甕に光あふるる

◆兵庫県議会議長賞

夫と行く春の光都の茶房「リラ」アールグレイをいつもの席で

◆兵庫県西播磨県民局長賞

生け垣に見えかくれして保育所のもも色帽子が通い出す春

◆たつの市長賞

あと幾度歩幅あわせて夫と観ん桜月夜の花冷えを行く

◆(公財)兵庫県生きがい創造協会理事長賞

お洒落とは言えぬ野良着の身に馴染み悔いること無き農の半生

◆(公財)兵庫県芸術文化協会賞

栗の木のぎざぎざの葉に隠れいる小さき毬にも六月の風

◆西播磨文化協会連絡協議会長賞

七年もかかつたんやと虫かごの蟬に少女の透きとほる声

◆奨励賞

あじさいの毬に華やぐ祭壇の遺影わずかに花へと傾ぐ

群れよりもおくるる一羽はばたきを早め仲間に紛れ行きたり

汚染水と格闘続ける税の無駄原発廃止へ皆声あげろ

モンゴルに逝きし妹墓はなく訪ねし証の小石を拾う

畑より戻りて点す玻璃窓に映るはわれかいたく老いづく

◆入選

下校時元気な声のさよならが畑仕事の疲かれをいやす

真向かいては言えぬ夫への繰り言を独りごちたり風呂洗いつつ

怪我が癒え戻りし妻の振る舞いが何とはなしに気になる朝

ハンドルをとっさに右へきりすぐにミラーに亀の無事を確かむ

春日浴びぬくき苺を孫と摘む小さき指の赤く染まりて

見晴らしがいいねと君と求めたる墓地への坂をひとり登りぬ

放物線を描きホースの先の水ポンポンダリアの花に着地す


【学生の部】

◆兵庫県西播磨県民局長賞

ビー玉をかざしてすかし見えるもの自分の顔と逆さま世界

◆たつの市長賞

寝たきりの祖父に伝える僕たちは元気でいるから安心してね

◆(公財)兵庫県生きがい創造協会理事長賞

跳んで寝て走って食べるうちのうさぎかわいいだけでできています

◆(公財)兵庫県芸術文化協会賞

クロールで水をかきわけ進んでく息つぎすると夏の青空

◆西播磨文化協会連絡協議会長賞

向日葵と背くらべする弟はとてもかわいく笑顔になる僕

◆奨励賞

「ごめんね」のその一言が言えなくて素直になれよ私の心

過ぎてゆくあなたの日々になりたくて青空みたいな光で向かう

庭先で線香花火の玉八つ家族みんなで涼むひととき

甘ずっぱい祖父が育てて祖母が炊くベリージャムの変わらない味

海岸で砂のお城に波寄せてまだ帰らぬと夕焼けを待つ

世界地図祖父の家から教科書が出てきてびっくり国名ちがう

◆入選

まだ寒き山ウグイスの声響き一鳴き毎に心ぬくもる

雨上がり空に架かりし虹の橋鰯雲へも渡ってみたい

夏花火音も光も消えて去れ貴男は知らぬ私の思い

指揮棒振り下ろされるその一瞬音も心も一気に緩まる

終わりない蛙の声に耳すますねむれぬ夜の一人の部屋で

帰り道ふたりの影と友情をオレンジ色の夕日が照らす

人間はなぜ戦争をするのかな『戦争放棄』みんなが願う

「起きなさい」「まだ起きないの」「いつ起きる」「もうしらないわ」いつものセリフ

散歩中先に走って呼ぶ君の西日にとけるまぶしい笑顔

教科書の角風化してボロボロロ「勉強したな」勉強したよ

掴めんと知っているのに手をのばす月は取れずにたゆたう水面

食卓に並ぶトマトの数を見て夏がきたなと感じたこの日

被災地に咲きますようにたくさんの笑顔の花と幸せの花

夏の昼かんかん照りの太陽が洗濯物をすぐに乾かす

昼下がり散歩喜ぶ愛犬もアスファルトでつま先歩き

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