洗い場

お母ちゃんたちは、おしゃべり好きや。村を流れる小さな川は、メダカやフナやドジョウがようさんおった。ワイらは、肥えたドジョウの取り場やったけ ど、きれいな川は大切な洗い場やった。

朝、おばあちゃんから若嫁まで、洗濯物を籠に入れてやってくる。「おはようさん」から始まって、めいめい定番の石の前に 座り、洗濯を始めるんや。

お母ちゃんたちは、洗濯物を足で踏んで洗ったり、小さな木づちでたたいて汚れを落としたり、たらいの中に洗濯板を入れて、ごしごし洗っている。

「おはようさんだす」いっぱい 籠に野菜を入れた人がやってきた。一番川の上 かみに座ると、野菜を洗い始めた。食べ物を洗う時は、一番きれいな水と決まっている。「ええ大根が取れたんやな」「今は菊菜や白菜がおいしい」とか、話題は食べ物の話でやかましい。

洗い場はだんだん満杯状態になった。「隣のおじさんが怪我をしたけど軽かったで」「清さんの猫が 5 匹子猫を産んだ」話題はその日によって違うが、情報は、 この小さな川から始まる。「あはあは」と、にぎやかなこっちゃった。

「ほんなら、さいなら」洗い終わった人から次々と去っていったけど、おしゃべりは、ほんまに楽しそうやったで。〈注〉洗い場は、上(かみ)では野菜を洗い、真ん中が洗濯、下(しも)では鍬等、働く道具やオシメ洗いと決まっていた。今は洗濯機になったが、平たい板に帯状にギザギザのついた洗濯板はたいへん重宝した。

西播磨生活創造しんぶん「ネットめばえ」 2020年2月1日発行 vol.141 掲載

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