ひばち(火鉢)

どこの家でも火鉢が居間にどっかりとあった。火鉢の材質は陶磁器、金属、木材だった。周りの面は、色無地だったり、風景や花が描いてあった。

わいの家には、青い色をした半径50センチもある大きな六角丸の陶の火鉢があった。その横でいつもおばあちゃんがちょこんと背を丸めて座っとる。火鉢の中に炭を熾して入れると、火箸で火の調節をし、五徳を置いて、鉄瓶をのせた。鉄瓶はチンチンと音を立てた。早速急須にお湯を入れた。湯呑を持ち、口をしわくちゃにしてフーフーと吹きながらお茶を飲んどった。

学校から帰ると、おばあちゃんはわいを見つけ手招きをした。おばあちゃんは鉄瓶をのけると、網を置いた。

「あっ、餅や」砂糖醤油で食べる焼餅は最高やったで。

 遊びから帰ってくるとおばあちゃんはいなかった。わいが火鉢ひとり占めや。最初は手を温めたんやけど足も体も寒い。火鉢に両足を乗せて跨ぎ火鉢の上に座った。炭火の真上はほんまに尻が温こうて、もうやめられへん。体がポカポカしてきてええ気持ちや。おばあちゃんに見つかった。「何しとる。火傷す るぞ。火事いくぞ」と一尺差しで叩かれた。

西播磨生活創造しんぶん「ネットめばえ」  2018年11月1日発行 vol.136掲載

注 昭和の頃、火鉢は普通にみることが出来た。遠赤外線効果でほっこりと暖かかった。戦後、灯油や電気のストーブが普及し、一酸化炭素中毒や火災の危険から徐々に消えていった。現在は、植木鉢、睡蓮鉢、金魚鉢に使用されたりしているが、昔をしのんで火鉢を使う人もいるそうだ。

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