からうす(唐臼)

「遊んどるんやったら、唐臼で米搗(つ)いとって」お母ちゃんが言う。「ええで」と言うたけど、これが力のいる仕事やった。

 昭和の初めごろには、田舎の納屋の隅には、米を搗くために、シーソーみたいな面白い道具がどこの家にもあった。地面に固定した臼があり、そこへ玄米を入れた。柄の端を足で踏み、杵を上下させて穀類を搗くという仕掛けや。踏み臼とか、かる臼とか言うらしいが、わいらはちょっとなまって「からんす」と呼んでいた。  

 木の手すりを持って足で踏んで放すと、杵が臼の中の玄米を搗く。最初は1、2、3、4と威勢よく踏んだけど、201、202と踏んでくると、のどはカラカラになるし、もう足もふらふらや。お母ちゃんに「もうきれいな白米になったで」と言うたら、「あほか。まだまだや」と言うんや。大人と違って、足短いんや。根性つけて伸びあがって踏んどるのに、もうやっとられへん。

 「やーめた」言うて、ボール投げして遊んだ。しばらくして帰ると、米はきれいに片付いとった。お母ちゃん、怒っとるやろなあ。最後まで手伝わんと遊んだのは悪いと分かっとるで。けど、子供にはしんどい手伝いやった。

注 昭和の初期まで唐臼は農家の各家にあった。その後精米所が出来て、リヤカーや車力で玄米を持って行った。最近は精米をした米がスーパーで買えるし、随所に無人の精米機もある。今でも精米するとは言わず「米を搗いてくる」というのは、昔杵で搗いたころの名残だろう。

西播磨生活創造しんぶん「ネットめばえ」 2018年5月1日発行vol.134掲載

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