もんどり
もんどりゆうたら何か知っとうか。
それはな、うなぎを獲る2重になった竹の筒の事や。田舎の納屋には、どこの家にもあったで。簡単に見える道具は巧妙で、うなぎが竹の筒に入ったら、可哀そうやけど、どうあがいても出られへんようになっとるんや。
うなぎ獲りには、スコップを持ってミミズを探すことから始める。堆肥が積んである所をスコップで掘り返すと、大きいのから小さいのまでミミズがうじゃうじゃとれるんや。
もんどりの大きい筒に、両手でつかんだミミズを入れて、中にもうひとつ、さかもぎの筒を入れる。これで準備は完了や。
夕方になると、わいらは紐のついたもんどりを持って川に急ぐ。わいらには、誰にも隠している、うなぎがよう獲れる秘密の場所があった。川にうなぎの通る細い溝をつくり、もんどりを仕掛けると水草で入口を隠してから石で押さえる。なんせ、流れたら泣くしかないもんな。慎重やったで。どっち向きにするか知っとるか。うなぎは川を上ってくるから、入口は下向きにするんやと。
あくる日、川へ行ってもんどりを上げるんや。持つとずっしり重い。ようさん獲れるときは一度に
3匹も入っとったで。ほんまに、うなぎ獲りは、わくわくして面白かったな。
(注)
うなぎは、もんどりを使うと子どもにも簡単に獲れた。池では重りをつけた針で獲っていた。あくる日行くと、大きく紐が揺れていたので、上げてみるとかめが引っ掛かっていたこともあった。

西播磨生活創造しんぶん「ネットめばえ」 2015年8月1日発行vol.123掲載