ねんねこ

 腰の曲がったおばあちゃんが、ねんねこで子供をおんぶしている。子供は、ほこほこと暖かいのか、気持ちよう寝とった。
 ねんねこは、寝る子で、子供のことを指す。または、ねんねこは、子供を背負うときに着る綿入れの半纏(はんてん)の略なんやと。

 寒い冬には、子供も暖かいし、子守も暖かいすぐれものや。夏は、気温が高いので、おんぶ紐だけやった。私がおんぶすると、妹の両足をよく引っ張るので、O脚になると叱られたもんや。
 亀の甲と言って、その名のように、亀の甲らのように背中に覆いをした簡単なものもあった。ねんねこも、比較的寒さが和らいでいるときは、綿の入らないものもあった。寒い冬には綿が入ったものに変わった。子供が寒くないようにと工夫されとったんやな。

 おばあちゃんやお母さんは、働き者で子供をおんぶしたまま、ごはんを作ったり、掃除をしたり、野良仕事までもやった。

 時々、ねんねこを脱ぐと、子供をおんぶ紐からおろしてオシメを替えたり、お乳を飲ましたりする。

 「おお、よしよし」とその時だけあやして遊んでやるんや。さあ仕事やゆうて、おんぶ紐の上に、子供をぶら下げ、早業で背中へぽいと乗せた。子供の足をおんぶ紐に通して前で結ぶと、その上からねんねこを着る。軽業みたいにすごい腕前やった。  子供が背中で寝てしまい頭ががくがくしていても、働き者のおばあちゃんやお母さんは、仕事に精を出していた。まだ子供の数が多かったので、右と左に子供の手を引いて買い物にも行った。
 農繁期には、妹の子守をするのが私の仕事やった。

(注)
 昭和の終わり頃までは、ねんねこで、子供をおんぶしていた人は多かった。その後、網の抱っこ紐で、子供を前で抱っこするように変わったが、足元が見えないので危ないと、現在は小さな折りたたみのベビーカーが主流を占めている。

西播磨生活創造しんぶん「ネットめばえ」 2016年11月1日発行 vol.128掲載

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