わらぐろ

田んぼは切り株だらけになった。田舎の人はよう頑張る。稲刈って、束にして、干して、脱穀して、やっと新米が取れるんや。

おじいはその広い田んぼで仕事や。脱穀した藁を保管するのにわらぐろを作る。藁をなんで保管するのかと不思議に思うやろ。藁は田舎の家にとっては抜群に大切なものやった。お父は毎日きれいな藁を牛小屋に敷いた。汚くなった藁はたい肥にする。捨てるとこないで。牛の餌にも小さく切って混ぜた。藁を使った仕事もいっぱいあった。草履作り、コモ編み、縄編み、元旦のお飾り作りもする。野菜畑のスイカや南京や瓜の下にも敷く。藁は屋根裏にも入れたけど、田んぼに保管するのが一番やった。いつでも使われるもんな。

おじいは円錐状に藁を並べていく。だんだんと高くなってくると、一番上に藁で傘を作るんや。雨に濡れたら藁が傷むやろ。

田んぼにいっぱいわらぐろが 並ぶと、こども達は何でも遊びにする。おじいに隠れて藁を抜き、秘密基地を作ったりわらぐろ倒しの競争をした。おじいが丹精込めて作ったわらぐろを、 見事にひっくり返した。おじいが泣いて怒ったけど、わいらには快感やったなあ。

注 わらぐろは田舎の風物詩だった。昭和40年ごろから動力脱穀機が普及してわらぐろは次第に見られなくなった。牛もいなく なり、藁仕事もなくなり、藁を保管する必要がなくなったからだ。

西播磨生活創造しんぶん「ネットめばえ」 2019年2月1日発行vol.137掲載

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